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統計を学ぶべき10の理由『統計学が最強の学問である』

Book

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photo credit: SalFalko via photopin cc


    そうした彼の考え方を子どもの頃の私は尊敬していたが、その一方で「全力」と「最善」は異なるのではないかということも考え始めていた。たとえば、睡眠時間を削って目の前のことをこなし続けること、これは全力である。一方で長期にわたって睡眠時間を削り続けたせいで、集中力が失われたり健康を害したりしたために、トータルで失敗が増えてしまうのであれば「最善」ではない。〜 西内 啓『統計学が最強の学問である』


相手を説得する方法は大きく分けて二つある。魅惑するか理屈をこねるかだ。魅惑する場合は文章のレトリックを使って相手を気持ち良くさせる。理屈をこねる場合は数字のレトリックを使って物事を証明する。その証明に必要なのが統計学だ。

例えば、回帰分析でハードウェアの障害傾向を特定したり、テキストマイニングでFAQを作成したり、A/Bテストでウェブサイトのクリック率を上げる。勘や経験に頼るのではなく、定量化して分析する事で正しい道を選ぶ。

統計学が最強の学問である』には、統計学を学ぶべき理由が書かれている。

  1. どんな分野の議論においても、データを集めて分析することで最速で最善の答えを出すことができる。
  2. ビッグデータをビッグなまま扱う必要はない。どの程度の誤差で真値を推測しているかを数学的に整理することで、無限にデータを集めることなく適切な判断を下せる。
  3. マイクロソフトが挙げる今熱いテクノロジーは「データマイニング、機械学習、人工知能、自然言語処理、ビジネスインテリジェンス、競合分析、ウェブ分析、A/Bテスト、統計解析」。
  4. 「十分なデータをもとに適切な比較を行う」という統計的因果推論の基礎さえ身につければ、経験や勘を超えてビジネスを飛躍させる裏ワザはもっと簡単に見つかる。
  5. ランダム化比較実験は人間の制御しうる何物についても、その因果関係を分析できる。
  6. 回帰分析が読めれば、いいかげんな言説が駆逐できる。
  7. 心理統計家は「心」や「精神」といった目に見えない抽象的なものを測定することを目指す。測定することができれば行動や成果や精神疾患との関連性を分析できる。
  8. バスケット分析では改善度や支持度を見ながらあれやこれやと検討しなければいけなかったが、カイ二乗値を使ったものであれば誤差に騙されることなく自動的に関連性の強い商品の組み合わせを探すことができる。
  9. Googleのチーフエコノミスト、ハル・ヴァリアン博士は、「これからの10年で最もセクシーな職業は統計家だろう」と言い続けている。
  10. 統計学的な裏付けのないものにそれが絶対正しいと決めつけることと同じくらい、統計学的な裏付けのないものに、それが絶対誤りだと決めつけることは愚かだ。


冒頭の引用はあとがきの内容だ。著者のお父様は外科医で、睡眠時間を削って仕事をしていた。自分の失敗で誰かの命が失われたとしたら、全力で取り組んでいた事だけが言い訳になると考えていた。だが、冷静に分析するとそれは最善な選択ではなかった。

本書には数多くの例が登場する。あみだくじの必勝法、Amazonの商品レコメンドの仕組み、Googleの自然言語処理、医療、教育、経済、政治、犯罪、スポーツ、ビジネス、ウェブなどなど。

本書はその辺のミステリー小説よりもスリリングだ。統計学はあらゆる場面で利用されているし、まだまだ利用する余地がある。

統計学が最強の学問である(ダイヤモンド社)Amazon / Kindle / 楽天ブックス / 楽天Kobo


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