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花粉症や喘息など、アレルギー疾患に対する一つの解『寄生虫なき病』

Book

20140417194805幸いにも私は今まで花粉症や喘息に悩まされることはなかったが、食物に対するアレルギーはある。それは甲殻類アレルギーと呼ばれているもので、エビやカニを食べると唇や食道が赤く腫れて炎症を起こす。発症したのは大人になってからで、子供の頃はエビフライが大好きだった。世間のニュースでも、以前は給食によるアナフィラキシーショックが話題になることはなかったし、花粉症が風物詩になることもなかった。

寄生虫なき病』の著者モイゼスは、花粉症や喘息などのアレルギーの原因が、微生物や寄生虫の不在にあると説く。私たち人類は、かつてないほど清潔な環境で暮らしている。ワクチンや抗生物質のおかげで感染症から解放された。だが、そこに大きな落とし穴があった。

人の身体は寄生虫、細菌、ウイルスなど、様々な生物が一体になって生態系を成している。微生物が消えて圧力を受けなくなった免疫系は、神経質になり自分自身を攻撃する。アトピー性皮膚炎に始まり、鼻炎、喘息、食物アレルギーと続き、さらに深刻な自己免疫疾患へ発展する。

2009年頃からアンダーグラウンドで寄生虫療法が始まった。実際に花粉症、喘息、食物アレルギー、乾癬、クローン病が寛解し、人生を取り戻した人がいる。ただ、寄生虫は病気を誘発することもある。寄生虫の卵は人の免疫系を侵略し、感染症を引き起こす危険がある。

著者も寄生虫ですべてが解決するとは言っていない。だが、全身脱毛症や皮膚炎など、自身の免疫疾患が娘に遺伝することを危惧して決心した。アメリカ鉤虫が付着したガーゼを腕に押し当てる。鉤虫は皮膚から肉の中へと入り込み、肺に侵入する。一旦のど元まで出て再度飲み込まれた後、柔らかな腸壁に頭を突っ込み棲み着く…

衝撃的な本だった。表紙に写っているのが鉤虫だ。著者は感染症の歴史と原因を調べ上げ、様々な患者に対する寄生虫の作用と副作用をリアルに描く。自分や子供が重い免疫疾患になり、薬が効かず、普通の人生を送ることができなくなったらどうするか。一つの解がここにある。

寄生虫なき病(文藝春秋)Amazon / 楽天ブックス

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