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逆さメガネ

Essay

人は眼の水晶体を通して世界を見ている。厳密には世界をそのまま見ているのではなく、物体に反射する光を見ている。光は凸レンズの水晶体を通って屈折する。屈折した光は上下と左右が反転するため、眼の奥の網膜に映る像も反転している。その映像をもう一度反転させ、世界を「正しく」見せているのは脳の処理だ。

逆さメガネというメガネがある。ドラえもんの道具にありそうな名前だが、ちゃんと実在する。逆さメガネをかけると世界の上下が反転する。最初は気持ち悪くなるが、しばらくすると慣れてきて、歩いたり物を動かすことができるようになる。そして驚くことに、数週間すると世界がまた反転して元に戻る。世界の都合に合わせて、脳が処理方法を変えるのだ。

地球で暮らしていると重力は下向きに働くと錯覚するが、実際は物の中心に向かって引きつけられているだけで、下向きと決まっているわけではない。宇宙船の中を想像するとわかるが、本当は上も下もない。頭が上で足が下というのは、地球の都合に合わせて進化した生物の都合なのだ。

オーストラリアなどの南半球では、上下が反転した世界地図を売っている。南半球で地面に立つと、頭が南を向いているので南が上になる。お土産用の地図のようだが、なかなか盲点をついていて面白い。「正しい」世界なんてものは人の都合でしかないのだ。

数字やグラフを鵜呑みにする人。常識にしばられている人や、頭がカチコチな人。宗教のせいで殺しあう人や、動物と子供を虐待する人。そして同級生をいじめて溺死させる高校生。そういった人たちは一度逆さメガネをかけてみるといいかもしれない。見方を変えれば、世界が変わることに気づくはずだ。

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