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人生のものさし

Essay

京都大学の生協で「素数ものさし」という珍しい文具が売っている。上側は2、3、5、7、11、13、17cmの素数センチだけ目盛りがあり、下側は0~180mmの間の素数ミリだけ目盛りがある物差しだ。実際に測るには引き算をしたりゴールドバッハ予想を使う必要があるため実用的ではないが、大学らしい粋な文具だ。

物差しといえば海岸線の話も興味深い。海岸線の距離は正確には測定できない。物差しを小さくすればするほど、大きな物差しでは無視していた砂粒が測定できるようになり、キリがなくなるからだ。このような無限に続く測定値の概念は、数学のフラクタル理論につながっている。

先日、Twitterのタイムラインに面白いツイートが流れてきた。「エヴァ放映開始から20年」とか「ハルヒ放映開始から9年」よりも「江戸幕府が倒れてからまだ150年経ってない」という事実のほうが驚く、という内容のツイートだ。

エヴァンゲリオンの20年と江戸幕府の150年を並べると、あまり離れていないので妙な感覚になる。自分が生きてきた年月から目盛りを広げると、短い間に多くのことが起きていることを知って驚く。

さらに目盛りを増やす。

地球の誕生から現在までを1年のカレンダーにたとえると、恐竜が登場したのが12月12日で、絶滅したのが12月26日。私たちの祖先であるホモサピエンスが登場したのが12月31日11時49分で、文明が生まれて歴史の記録が始まったのが12月31日11時58分34秒だ。

日本の歴史は1分にも満たない。そしてあなたの人生は1秒にも満たない。物差しの目盛り次第で、人生は100年にもなるし1秒にもなる。人生は相対的なのだ。


参考書籍

素数はなぜ人を惹きつけるのか (朝日新書)

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誰もがその先を聞きたくなる理系の話大全 (できる大人の大全シリーズ)

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