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歩くモバイル端末

Essay

スマートフォンが普及して多くの人が予備のバッテリーを持ち歩くようになった。他国に比べ、日本人は特に電池切れを気にする傾向があるそうだ。たしかに電車の中の光景を思い浮かべると納得できる。ほとんどの人がうつむいてスマートフォンを触っているからだ。

普段は意識しないが、実は私たち自身もモバイル端末だ。バッテリーはリチウムイオン電池ではなく、アデノシン3リン酸という有機化合物。私たちはケーブルを接続して活動するのではなく、物を食べて炭水化物・脂質・タンパク質を分解し、エネルギーを蓄えている。

炭水化物は消化器でグルコースに分解され、血液によって脳細胞や筋肉細胞に運ばれる。脂質は消化器で脂肪酸に分解され、血液によって筋肉細胞などに運ばれる。タンパク質は消化器でアミノ酸に分解され、血液によって身体の各部に運ばれてエネルギー源になる。

これらのエネルギー源の実態がアデノシン3リン酸だ。

ダイエットで食事を制限をすると、必要なタンパク質と炭水化物が摂取できず栄養障害を招く。お腹が減ると力が出なくなって動けなくなる。スマートフォンで言うと、充電不足の状態になるわけだ。

植物は地中に根をはって栄養分を吸収する。電化製品でいえば電源ケーブルをコンセントに接続しているようなものだ。それに比べて動物はケーブルレス。食物を分解してエネルギーを蓄え、脳と身体に効率よく分配している。

私たちは生まれた時から高性能なモバイルシステムを授かっている。身体が疲れてきたり自暴自棄になったら、そのことを思い出したい。スマートフォンの充電切れを気にするように、自分のバッテリーにも気を使いたいものだ。


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