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怒りのまえにあるもの

Essay

どう見えているのか分からないが、こう見えても普段は会社で仕事をしている。十数人の部下を抱えて一つのプロジェクトを管理しているのだが、仕事に対してはけっこう厳しい。

部下が間違ったことをすれば怒るし、上司の指示が間違っていれば指摘する。先日も部下の行動にあまりに腹が立ったので、ついつい怒鳴ってしまったのだが、感情的になるとだいたい後悔する。

部下の判断にも一理あったのかもしれない。冷静に分析して諭すべきだった。怒ったら負けだといつも言っているのは自分ではないか。そんな風に悶々と考えていたら、ふとあることに気づいた。それは、人は怒る前に「驚いている」のではないかということだ。

たとえば、部下の行動が自分のポリシーとかけ離れていて驚く。子供の行動が自分の常識とずれていて驚く。列に横入りする人を見て無神経さに驚く。そんなとき人は怒りを感じるはずだ。

車を運転する人は思い出してみて欲しい。人や車が目の前に飛び出してくるとびっくりしてブレーキを踏むが、そのあと反射的に怒ったことはないだろうか。

脳のメカニズムでいえば、感情が生まれる扁桃体で「驚き」、自立神経をコントロールする脳幹で「頭に血が上り」、シナプスでスパークして「怒鳴る」。そんな流れだろうか。

今度あなたも怒ることがあったら、その直前に驚いていなかったか考えてみて欲しい。怒りの仕組みが分かれば、次から冷静になれるかもしれない。

とはいうものの、反射的な怒りをコントロールするのは難しい。さっきも息子から突然「ばぁ!」と驚かされ、怒ってしまったばかりだ。


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タイトルからスピリチュアルな本を想像していたのだが、良い意味で予想を裏切ってくれた。脳幹が生命維持に関わる制御を担い、視床下部が食欲をコントロールする。小脳が身体の動きを調整し、扁桃体が感情を処理する。このような脳と感情と行動の関係をちゃんと科学的に解説してくれる。脳神経科学の入門書としてお勧めしたい。