鮮やかで強烈、カメラワークで観せるホラー映画『ディスコード』
iTunesに登場したホラー映画『ディスコード』が強烈だった。
監督と脚本は長編映画初挑戦のニコラス・マッカーシー。原題は『The Pact』、公開は2012年。iTunesのパッケージでは「全英で異例のスマッシュヒット。インディペンデント映画ながら、公開週初登場第4位を記録。」という触れ込み。
あらすじはこちら。
アニーの母は異常なまでに神経質な性格で、幼いアニーと姉を過剰ほどの厳しい躾と折檻で自分のもとに縛り付けようとしていた。姉はそんな母に抗うようにして非行を重ね、アニーは一人立ちできる年齢になると静かに家を飛び出した。それ以来、母と絶縁状態にあったアニーだったが、突然の母の死をきっかけに再び故郷の土を踏むことに。そして数年ぶりに訪れた生家で、アニーは思いもよらない事態に直面する。生家で母の遺品を整理していたはずの姉が、すべての荷物を残したまま忽然と姿を消してしまったのだ。やがて姉の行方もわからぬまま母の葬儀を終えたアニーは、その夜自らの生まれ育った家で、身も凍るような恐怖の一夜を体験する…
物語の中でiPhoneが登場する。主人公がSiriを使って電話したり、勝手にマップが起動して重要なポイントを指し示す。Googleストリートビューで見ると、そこに女性らしき人影があった。iPhoneを机に置き、Macのブラウザでもう一度確認する。女性の人影が少し移動した気がする。カメラの視点がMacから外れて、部屋の窓を写してから元に戻ると、画面の中の女性がこちらに近づいていた。
書きながら思い出し、鳥肌がたってきた。こちらはトレーラームービー。
低予算のホラー映画は、ブレア・ウィッチ・プロジェクトやパラノーマル・アクティビティが有名だが、ディスコードはカメラが激しく動いたり、定点撮影するわけではなく、緻密に計算された視点を楽しむ事ができる。
派手な仕掛けはないものの、静かに変化する視点と突然現れる人影、そしてサウンド効果。主人公が家の中で物音に気づき、部屋から部屋へと歩いて回る。カメラの視点は後ろから。主人公が立ち止まるとカメラが引いて、部屋全体を写し出す。レンズの視界に入った鏡の中を誰かが通りすぎる。主人公が振り返る…
ただ怖いだけでなく、鮮やかで強烈。久しぶりに心臓がドキドキする映画を観た。
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