信号の誘惑



歩車結合式信号


はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。

ランニングを始めて1ヶ月が経とうとしている。最初に目標とした3km/20分はクリアしたので、次は5km/30分を目指しているが、肝心の体重は1kgしか減っていない。前途多難だ。

ランニング中は色んなドラマがある。昨日は、前から可愛い女の子が走ってきたので挨拶しようとしたのだが、重なって走っていた旦那と思われる若い男が後ろから顔を出し、激しく萎えた。

気を取り直して走り続けたが、いよいよ息が上がり、足が重くなって歩こうとした時、サッカーの長友が思い浮かんだ。試合も終盤なのにサイドを全力で駆け上がる、カモシカのような脚をした長友。

街の中を走っていると信号も誘惑してくる。赤信号を言い訳にして止まろうとするのだ。止まったら負けだと思って走っているが、限界を感じると赤信号に合わせてペースを落とすからタチが悪い。

そして今日、ついに5km/30分を切った。タイムは29分55秒。これまで経験した事のない苦しさだったが、なんとか乗り越えた。可愛い女の子も長友も登場しなかったが、相変わらず信号は誘惑してきた。

ランニングは自分との闘いだ。


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