ボランチを理解する10のポイント『なぜボランチはムダなパスを出すのか?』
遠藤にしても、「もっと激しくプレーしろ」とか「もっとシュートを打て」と言われたことはあったはずだ。それでも遠藤は決して変わらなかった。自分のことは自分が一番よくわかっていると言わんばかりに、やり方を曲げなかった。
ブームを追いかける人は、一生ブームを作れない、という言葉がある…(北健一郎『なぜボランチはムダなパスを出すのか?』)
どう見えているのか分からないが、こう見えても私は高校までサッカーをしていた。センターハーフとサイドバックを経験し、数多くの試合を観戦してきたので、サッカーを見る目は肥えているつもりだ。それでも、遠藤保仁の凄さは理解できなかった。決定的なパスを出したり、冷静にゴールを決めるシーンを見ると、確かに上手いと思う。だが、センターサークル付近でバックパスを繰り返したり、棒立ちでボールを取られそうになったりと、危なっかしいイメージがあった。
『なぜボランチはムダなパスを出すのか?』は、そんなマイナスポイントにこそボランチの価値があると言う。遠藤やバルセロナのシャビなど、見た目では分かりにくいボランチの役割を論理的に説明してくれる。
ボランチを理解し評価するための基準はこちら。
- ボランチが動き過ぎていないか?
- 予想を超えるパスを出しているか?
- 攻撃のスイッチを入れているか?
- 遅いパスを使いこなしているか?
- 作り直しのプレーができているか?
- 効果的なサイドチェンジをしているか?
- バックパスをうまく使っているか?
- 狭いスペースで受けられるか?
- ジョギングのスピードで走っているか?
- ゲームの先を読んでいるか?
こちらはバルセロナのパス回しを集めた動画。ボランチを含め、何のためにバックパスや遅いパスを繰り返すのか、イメージがわくはずだ。
今年はブラジルワールドカップがある。遠藤だけではなく、スペインのシャビやイタリアのピルロなど、ボランチの名選手が数多く登場する。本書を読んでおけば、ゴールシーンだけではなく、その過程も楽しめるはずだ。
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