義体化の夢『サイボーグ昆虫、フェロモンを追う』

20141130101227サイボーグ昆虫は昆虫の脳で動くロボット。昆虫の頭部と腹部を切り離し、触覚と眼を残した頭部にモーターを繋げる。触覚で匂いを検知すると、脳が指令信号を発してモーターを動かす。攻殻機動隊というアニメに全身を義体化したサイボーグが登場するが、イメージとしてはサイボーグ昆虫も同じだ。

カイコガの雄は、雌のフェロモンを検知すると反射的に直進した後、ジグザグにターンして回転する。この動きを繰り返して雌の場所を突き止めるのだが、カイコガのサイボーグ昆虫も同じ動きをした。この時の脳の信号を計測すると、精密な神経回路モデルを再現できる。

人間の脳を構成するニューロンの数は10の11乗だが、コンピュータで再現しようとすると10の21乗フロップスの処理能力が必要になる。現在のスーパーコンピューターは10の16乗が限界。人間の脳がシミュレーションできるのは2030年頃になると予測されている。

自分の娘が交通事故にあったとする。心臓は破裂したが脳はダメージがない。義体化すれば娘は再び目の前に現われる。脳が送り出す信号を読み取って腕や脚を動かし、カメラやマイクが捉えた信号を脳に送るブレインマシーンインターフェース。その開発の足がかりとなるのがサイボーグ昆虫だ。

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