考え抜く力『種の起原』
科学関連の本を読んでいるとダーウィンの名前が頻繁に登場する。生物学に限らず、宇宙学や脳科学など様々な分野でダーウィンが引用される。なぜならダーウィンは、種が個々に創造されるという既成概念を打ち破り、自然選択という理論で生物の起源を解明したからだ。
ダーウィンは、ガラパゴス諸島で独自の進化を遂げた動物を見て自然淘汰を思いついたと言われているが、『種の起源』を読むと違う印象を受ける。確かにガラパゴス諸島での経験は必要だったのかもしれないが、それ以前から動物や植物を丹念に観察し、進化について熟考していた。
ハトの体色、コウモリの翼、キリンの尾、ミツバチの巣、トビウオの跳躍、水に潜るクマ、木に登れないキツツキ、潜水するカラスなど。様々な形態を観察することで、有利な変異は保存されやすく、不利な変異は消失しやすいことに気づいた。突然閃いたわけではなく、フィールドワークで得た事実をもとに、動物が少数の祖先から由来したと結論づけたのだ。
偉人は考え抜くからこそ偉人になる。私たち一般人が世の中を変えるような理論を発見するのは難しい。だが、深く思考する意識を持つことはできる。快楽に流されて日々を送るのではなく、考えて考えて毎日を生きる。チャンスは、準備している者にしか訪れないはずだ。