映画『フォトグラファーズ・イン・ニューヨーク』がiTunesでレンタル開始 - 盗撮と芸術の境界線

私はスナップ写真が好きだ。スナップ写真は日常の一瞬の切り取ったもの。背景は街でもいいし自然でもいい。そこに人が歩いていたらスナップになるし、鳥が飛んでいたらスナップになる。定義については以前書いたこちらの記事を。

街のスナップは肖像権やプライバシーが問題になることがあるが、被写体を風景の一部と捉えるなら、それほど気にするものではない。個人情報を載せたり、被写体の名前が予測できる場合は許可が必要だが、そうでなければ必要以上に神経質になることはない。

ただ、それでもスナップと盗撮は紙一重だ。私も街で撮影していると相手に怪訝な顔をされたり、レンズをじっと見つめられることがある。私はそこで後ろめたさを感じることがあるが、芸術家は割り切っているか、そもそも気にしていない。

映画『フォトグラファーズ・イン・ニューヨーク』に登場する写真家は、みな芸術家だ。

本作は、ニューヨークで活動する写真家をクローズアップしたドキュメンタリー映画。2016年8月に日本で公開され、この3月からiTunesでレンタルと販売が開始された。登場する写真家は15人で、以前記事にしたエリオット・アーウィットも含まれている。

映画に登場する写真家
ブギー、マーサ・クーパー、ブルース・デビットソン、エリオット・アーウィット、ジル・フリードマン、ブルース・ギルデン、マックス・コズロフ、レベッカ・レプコフ、マリー・エレン・マーク、ジェフ・マーメルスタイン、ジョエル・マイエロウィッツ、クレイトン・パターソン、リッキー・パウエル、リュック・サンテ、ジャメル・シャバズ

私が気になったのは次の4人。リンク先はオフィシャルサイトもしくはGoogleの画像検索。

 Boogie(ブギー)
 Bruce Gilden(ブルース・ギルデン)
 Ricky Powell(リッキー・パウエル)
 Jamel Shabazz(ジャメル・シャバズ)

ブギーは銃口をこちらに向けるギャングの写真が印象的だった。

ブルース・ギルデンは歩行者の前で突然ストロボを焚いて撮影する手法が面白い。

リッキー・パウエルはバスキアウォーホールなどの著名人を撮影した写真がいい。

ジャメル・シャバズは映画のパッケージにもなっている犬を振り払う写真が印象的だ。

それぞれ特徴はあるが、共通しているのはユーモアとリアリティが同居している点。視点が独創的で、臨場感のある写真は印象に残る。スナップ写真は被写体が近いほど臨場感が増す。望遠レンズでは背景が切り取られてしまうため、35mmか50mmあたりの焦点距離がいい。

ただ、その距離は被写体のプライバシーに踏み込む距離だ。映画の中でも被写体とトラブルになるシーンがある。撮られる側は自分のプライバシーを侵されたと感じる。それでも写真家は踏み込み、盗撮を芸術に変える。この映画を観ると、自分も境界線を飛び越えられる気がしてくる。

iTunesレンタル
https://itunes.apple.com/jp/movie/%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%88%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%82%BA-%E3%82%A4%E3%83%B3-%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%A8%E3%83%BC%E3%82%AF-%E5%AD%97%E5%B9%95%E7%89%88/id1197529875?uo=4&at=11l8ww