動画をやめて本を読んで欲しい理由
子供がYouTubeの動画ばかり見ている。動画のすべてが悪いわけではないが、長時間はよくない。「メリハリをつけなさい」と諭しても、返事はいいが脳がついてこない。「楽しい」という脳内麻薬が分泌されると、止めることができないのだろう。
親としては学校の勉強に着いていけなくなるのが心配だ。だから動画をやめて本を読みなさいと説教する。すると子供はなんで?と聞いてくる。これまでは自前の理論で「考える力がつくから」と説明していたが、どうやって?と聞かれると答えに詰まっていた。
その答えは『脳を創る読書』に書いてあった。
著者は言語脳科学者の酒井邦嘉教授。酒井さんの本は言語と脳の関係を易しく教えてくれる。これまで『遺伝子・脳・言語』と『言語の脳科学』を読んだが、今回『脳を創る読書』が文庫化されたため手にした。
本を読む目的は想像力を養うためだ。
例えば先の「メリハリをつけなさい」という台詞。これを映像、音声、文字で比較してみる。
映像は表情が見えるので、相手の感情が最も読みやすい。音声も抑揚やイントネーションがあるため、比較的分かりやすい。文字は補助となる情報がないため、前後の文脈や背景から想像する。この想像する過程が、脳を成長させる。
情報の伝達だけが目的なら、映像が最も伝わりやすい。ビジネスの世界でも、重要な調整をフェイス・トゥ・フェイスで行うのはこのためだ。メールでは誤解を生むことが多いし、感情を伝えるのが難しい。
ただ、映像はデータが多いため、想像する余地がない。文字には隙間がある。優れた発信者は計算して文章を組み立てるし、優れた受信者は行間を読む。読書は想像力を養い、応用力を培う。新しい発想を生むためのベースを創る。
さて。『脳を創る読書』を読んで本の効果は理解できた。今度子供が動画を見続けていたら、ちゃんと理屈を説明しよう。ただ、なんとなく結果は想像できているので、次の手も考えなくてはいけない。説得するための動画を作るしかないか。
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