世界との関わり方が変わる10冊(Kindle)

電子書籍が徐々に普及し、書籍全体の5分の1まで市場規模が拡大した。読みやすさの観点では紙の本に軍配が上がるが、電子書籍には利便性という大きなメリットがある。思い立ったらすぐ入手できるし、保管場所にも困らない。

電子書籍はコミックが大半を占めるが、数年前と比べれば学術書も随分と増えた。既刊本の電子化も順調に進んでいる。そこで今回は、学術書を中心にKindleで読める名著を紹介したい。読めば世界との関わり方が変わる。そんな可能性を秘めた本だ。


意識は傍観者である

人は自分で自分をコントロールしていると思っているが、実際は無意識に行動していることが多い。意識は傍観者だ。脳の病気は愛する家族を傷つけたり、無差別に人を殺害することもある。自分には選択の余地がない行動に対して、人はどこまで責任を追うべきなのか。作者のエッジの効いた語り口に、思わず惹きこまれるはずだ。
あなたを突き動かすもの『意識は傍観者である』 - #RyoAnnaBlog



理科系の作文技術

著者は言う。「スッキリと筋の通ったものを書けるかどうかは、自分の書いたものをきびしく見直す能力と、何度でも書き直す根気にかかっている」と。書きながら何度も読み返し、単語や段落を適切な順番に並べ替える。曖昧な表現を避け、事実と予測を峻別する。切れ味のいい文章を書く技法は、理科系の論文に隠されていた。
明快な文章を書く技法『理科系の作文技術』 - #RyoAnnaBlog



記憶力を強くする

人は記憶する時、最初に大脳皮質の側頭葉から海馬に信号を送る。海馬は信号を整理しながら1ヶ月ほど情報を蓄え、その後に側頭葉に戻して長期保存する。本書は、そのような記憶の流れをシナプスなどの写真と共に紐解く。脳の仕組みが分かると世界が変わる。
記憶にまつわる七つの事実『記憶力を強くする - 最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方』 - #RyoAnnaBlog



森田療法

不安や葛藤を異物として除去する西欧の心理療法と、あるがまま受け止めて、自己実現のために目的を達成させる森田療法。この本は神経質症の解決方法について書かれたものだが、心理学の勉強にもなるし、人生のヒントにもなる。
神経質症、あるいは生き方に迷う人へ『森田療法』 - #RyoAnnaBlog



知的トレーニングの技術

知の技法に関する本は数多くあるが、本書ほど腑に落ちるものはない。自ら問いを発し、その問いをさらに分解して考えるダイナミック発想法。サイドライン、カッコ、注釈、カードなどを使った読書術。そしてユニットで書く文章術。知的生産のノウハウが詰まった傑作だ。



SYNC
[asin:B00JRYHL1Q:detail]
自然界に潜む同期現象を科学的に解明した本。数百匹が同時に明滅するホタル、卵子を目指して同時に尾ひれをふる精子、心臓を動かすために同時に振動するペースメーカー細胞など。本書は私たちの生活に同期現象が深く関わっていることを教えてくれる。本書を読むと、自然の神秘に触れることができる。
同期現象の解明に挑む『SYNC ー なぜ自然はシンクロしたがるのか』 - #RyoAnnaBlog



世界を変えた17の方程式

私たちの身の回りは方程式で満ちあふれている。インターネット、GPS、電子レンジ、高層建造物、金融、そして核爆弾まで。科学技術は自然の中に隠れているパターンを解明することで発展してきた。本書は方程式にまつわる正と負の側面を丁寧に教えてくれる。
世界は数学で満ちている『世界を変えた17の方程式』 - #RyoAnnaBlog



ご冗談でしょう、ファインマンさん

リチャード・P・ファインマンノーベル賞を受賞した理論物理学者。だが、その偉業とは裏腹に言動は奇想天外で破天荒だ。軽快な口調で語られるこのエッセイは、皮肉とユーモアが満ちていてすこぶる面白い。全編を通して伝わってくるのは、ファインマンの明るい性格と科学に対する誠実さ。数学や物理の小話と一緒に笑いも涙も誘うのだから、このエッセイは傑作としか言いようがない。
科学エッセイの傑作『ご冗談でしょう、ファインマンさん』 - #RyoAnnaBlog



ソロモンの指環

ローレンツ博士は、ヒナが産まれて初めて見る動物を親だと誤認する「刷り込み」現象を発見した。それは動物との共同生活の賜物だった。誰もが見ていながら、誰も気づかなかったことを発見する。博士は動物行動学を科学のレベルに引き上げ、ノーベル賞を受賞した。生きている動物は美しい真実の物語を語ってくれる。本書を読むと自然の原理に触れたくなる。
動物を飼う前に読むべき本『ソロモンの指環』 - #RyoAnnaBlog



重力とは何か

重力が自然界に及ぼす影響と、重力理論の発展の歴史が丁寧に解説されている。ニュートン力学から始まり、アインシュタイン理論、量子力学超弦理論まで。文字を目で追うだけでなく、理解しながら読める。本書を読み終えると、何気ない自然現象が気になり始めるはずだ。
『重力とは何か』が名著である理由 - #RyoAnnaBlog



昨年は写真に興味が傾き、あまり本を読んでいなかった。今年も写真への情熱は冷めそうにないが、本や映画の比重も上げたい。

手塚治虫は言う。

漫画から漫画の勉強をするのはやめなさい。一流の映画を観なさい。一流の音楽を聴きなさい。一流の芝居を観なさい。一流の本を読みなさい。それから自分の世界を作りなさい。