盗撮との境界線

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この写真の主題は、自転車に乗っている女性のスカートにある。風で広がり、太陽で透けたスカートに、ある種のエロスを感じる。だからこの写真は、盗撮との境界線上にある。スカートが透けることにより、身体のラインが露わになっているからだ。

盗撮は地方自治体の迷惑防止条例で規制されている。以下はその一例。

何人も、公共の場所又は公共の乗物において、写真機等を使用して着衣等を透かして見る方法により、みだりに着衣等で覆われている他人の下着等の映像を見、又は撮影してはならない。


ここでいう「下着等の映像」に、この写真が含まれる可能性がある。普段私は顔が見えているスナップも公開しているが、この女性の顔が見えていたら、おそらく公開しなかった。個人が特定できる写真はリスクがあるからだ。

個人が特定できると、著名人のパブリシティ権や、一般人のプライバシーを侵害する可能性がある。例えば不倫中の男女が写っていたら、当事者の人生を左右するかもしれない。そのため、主観的な判断ではあるがデリケートなシーンは公開しないようにしている。

では、個人が特定できない状態で、この女性のスカートがめくれていたらどうするか。

写真として価値があるなら、私は公開するかもしれない。覗くのではなく、風でめくれた場合に限るが、それは一瞬を切り取るスナップとして、最高な作品になるかもしれない。

私にとって、盗撮との境界線はこの辺りにある。顔が見えているか、見えていないか。当たり障りがないか、デリケートか。必然か、偶然か。恣意的な基準だが、指針は持っておきたい。


撮影カメラ


撮影地