9つの成功法則『世界最強の商人』

201505231926072005年6月、膵臓癌の手術を終えたスティーブ・ジョブズは、スタフォード大学の卒業スピーチでこのような名言を残した。

私は17の時、こんなような言葉をどこかで読みました。確かこうです。「来る日も来る日もこれが人生最後の日と思って生きるとしよう。そうすればいずれ必ず、間違いなくその通りになる日がくるだろう」。それは私にとって強烈な印象を与える言葉でした。そしてそれから現在に至るまで33年間、私は毎朝鏡を見て自分にこう問い掛けるのを日課としてきました。「もし今日が自分の人生最後の日だとしたら、今日やる予定のことを私は本当にやりたいだろうか?」。それに対する答えが“NO”の日が幾日も続くと、そろそろ何かを変える必要があるなと、そう悟るわけです。(stayfoolish

この6年後にジョブズは亡くなったが、彼が成し遂げた偉業を振り返ると、鏡の前の日課は本当に実践していたのだと思う。

ジョブズが出会った言葉は『世界最強の商人』に登場する。本書が出版されたのはジョブズが13歳の頃なので、これが原典なのかもしれない。

舞台は2000年前の中近東。世界一の商人を目指す若者が、9つの成功哲学が書かれた巻物に出会う。

私が出会う人々には、どのように接すればいいのだろうか? それはたった一つの方法しかない。口には出さずに自分の心の中で、彼に「私はあなたを愛しています」と呼びかけるのだ。この言葉は口に出さないものの、私の目の中で輝き、私の額の皺を拭い去り、私の唇に微笑みをもたらし、私の声の中にこだまする。そして相手の心は開かれるだろう。そして、私の愛を心で感じたとき、だれが私の商品に対して「いらない」と言うだろうか?(第2巻)

人に厳しい言葉をかけるときは愛を持って行わなければならない。感情に流されるまま怒鳴っても、相手は感動しない。

トラブルは未然に防ぎたいが、もし起きてしまったら愛を持って迎えたい。今まで気づかなかったことを教えてくれるし、成長するチャンスになる。

私はこの大自然最大の奇蹟だ。有史以来、私の知性、私の心、私の目、私の耳、私の手、私の髪、私の口を持った人間は一人としていない。私の以前にも、現在にも、未来にも、私のように歩き、話し、動き、考えている人はいない。すべての人は兄弟である。しかし、私たちはみんな違っている。私は唯一かけがえのない存在なのだ。(中略)今日から、私はこの「違い」という利点を利用しよう。なぜならば、この利点こそが私が最大限に活用すべき財産だからだ。私は他人を真似るとう無駄なことを行うのは、もうやめよう。(第4巻)

困難な問題に直面しても、考え抜けば解決策は見つかる。独自の発想は、考え抜いた先に生まれる。発想の転換は、突然起こるものではない。

私は今、行動する。地図はどんなに注意深く細かいところまで作られていても、地図の持ち主を1インチたりとも動かしはしない。羊皮紙にいかに公正な法律が書かれていようと、その法律が犯罪を防止することはない。今私が手にしている巻物でさえ、それだけでは1ペニーも稼げず、喝采の言葉一つ得ることはできない。唯一行動だけが火をつける点火材だ。(中略)私は今日の仕事を後回しにして、明日まで持ち越そうとは思わない。明日はやって来ないと私は知っているからだ。(第9巻)

イデアは実行しなければ価値がない。自分の能力を過小に評価し、怯えてはいけない。失敗を恐れず前に進んだ者にだけ、次の一歩を踏み出す権利がある。

私は今日が人生最後の日だと思って生きよう。そしてもし、今日が最後の日ではなく、明日も生きていられたならば、私はひざまずいて神に感謝しよう。(第5巻)

この類いの本を読んで人生が劇的に変わることはまずない。最初に読んだときは特に大きな感動もなく書棚にしまっておいたのだが、それから何日かして仕事で詰まったときに思い出した。後からじわじわ効いてきたのだ。

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