2015-01-01から1年間の記事一覧

『読みやすい文章を書くための技法』を電子書籍で出版

これまで多くの方に読んでもらった記事『読みやすい文章を書くための技法』。その内容を磨き上げ、心に残る文章を書く技法と合わせて一冊の本にした。Kindleストアの紹介文はこちら。

小説『グラビトン』を出版

小説『グラビトン』を出版した。4000文字程度の短い物語だが、伏線を随所に入れつつ科学と人間のドラマを凝縮させたので、十分楽しんでもらえるはずだ。読み終えた瞬間に希望を感じる、そんな読後感があると嬉しい。こちらは紹介文。

体験をデザインする

いつからか、コンビニのレジでポイントカードの有無を聞かれるようになった。セブンイレブンは独自のカードを使っているが、ローソンはPontaカード、ファミリーマートはTカード、サークルKサンクスはRポイントカードを採用し、いずれも異業種の共通ポイント…

世界との関わり方が変わる10冊 #2015

今年の夏頃からブログの書き方を変えた。以前は読んだ本を紹介することに重きを置いていたが、いまは本を媒介にして自分の感じたことを書こうとしている。すると自然に、記事のタイトルから本の題名が消えた。なぜ本を読むのか。それはひらめく準備をするた…

トンネルが潰れない理由

むぎゅっとなっているからだ。砂時計を想像して欲しい。円錐形のガラスを上下にひっくり返すと、中央の小さい穴からさらさらと砂が落ちるてくる。最後まで砂が落ちるとめでたくラーメンが食べられるのだが、よくよく観察すると砂の落ちるスピードが一定であ…

エリシア・クロロティカ

アメリカの東海岸に生息するこの美しいウミウシは、動物と植物の性質を合わせ持つ不思議な生物だ。幼生期に藻類を食べて葉緑体を蓄え、藻類を食べ尽くすと口を失い、その後は光合成で生きていく。藻類を食べるのは光合成の遺伝子を受け継ぐためで、その受け…

犬が首をかしげる理由

家を出るとき、犬にバイバイと声をかけると首をかしげてキョトンとした顔をする。続けて話しかけると、首を逆にかしげて丸い目で見つめてくる。この仕草がたまらなく可愛いくて、ついつい玄関で長居してしまい、家人から白い目で見られる日々を送っている。

ポピュラーサイエンスの傑作10選

ポピュラーサイエンスをそのまま訳すと、大衆科学や通俗科学といった意味になる。書籍のジャンルのひとつで、難解な専門用語を使わず、平易な言葉で科学を解説した本を指す。印象に残るポピュラーサイエンスには物語性がある。イントロからエンディングまで…

殺人の選択

近所のラーメン店で強盗殺人事件が発生した。連休中の売り上げ金を狙った犯行で、鈍器で殴られた従業員は一人が重傷を負い、一人が死亡した。いつもはニュースで殺人事件を知っても情報として受け流すだけだが、近所で発生すると肌で恐怖を感じる。犯人が潜…

プルースト効果

仕事を終えて外に出ると雨が降っていた。ここのところ毎日のように雨が降る。気温はそれほどでもないが、湿度が高いのでジメジメして、シャツとズボンが肌にまとわりつく。まるで梅雨の季節に巻き戻されたようだ。駅に着く前に雨が止んだ。街灯に照らされた…

歩くモバイル端末

スマートフォンが普及して多くの人が予備のバッテリーを持ち歩くようになった。他国に比べ、日本人は特に電池切れを気にする傾向があるそうだ。たしかに電車の中の光景を思い浮かべると納得できる。ほとんどの人がうつむいてスマートフォンを触っているから…

村上春樹の書籍が電子化『走ることについて語るときに僕の語ること』

村上春樹のエッセイ『走ることについて語るときに僕の語ること』が電子化された。ウェブサイトの内容をまとめた『村上さんのところ』を別にすると、村上春樹の書籍が電子化されたのは初めてだ。本書は村上春樹のマラソンに対する思いが綴られた本だが、同時…

人生のものさし

京都大学の生協で「素数ものさし」という珍しい文具が売っている。上側は2、3、5、7、11、13、17cmの素数センチだけ目盛りがあり、下側は0~180mmの間の素数ミリだけ目盛りがある物差しだ。実際に測るには引き算をしたりゴールドバッハ予想を使う必要がある…

猿がタイプライターで『風の歌を聴け』を書くことはあるのか

セス・ロイドの『宇宙をプログラムする宇宙』が面白かった。セス・ロイドは、宇宙がこのような姿をしているのは宇宙自身が計算する能力を持っているからだと主張する。この世界に存在する物質の最小単位は電子や素粒子で、これらは量子と呼ばれている。量子…

超銀河団 局部銀河群 銀河系 太陽系 第三惑星地球

宇宙を想像すると不安になることがある。真っ黒な宇宙空間にぽつんと浮かぶ青い地球。絶妙な引力バランスで他の惑星との距離を保つ地球。時速1600kmで自転し、時速10万kmで太陽の周りを公転する地球。他の星との位置関係がずれたり彗星が追突すると、地球は…

人は遺伝子を超えられるか

最近、遺伝子について考えることが多い。人間のすべての細胞に格納されている23対46本の染色体。染色体の中で折り畳むように並ぶAGTCの塩基配列。0.1%の違いで他人になり、1%の違いでチンパンジーになる30億文字のコード。鎖をほどいて染色体をコピーする二…

昨日の夕方、東京で虹が出た。こんなとき遠距離恋愛はつらい。いつもなら二人で夜空を見上げて、同じ星を見て喜びを感じることができるが、虹は一緒に見ることができない。Twitterにアップされる写真を見ていたら、救いようのない寂しさを感じて涙があふれて…

素数ゼミ

ミーンミンミンミンミーン ミーンミンミンミンミーン ミーンミンミンミンミーンもうすぐセミの季節がやってくる。陽が昇ると朝を知らせるように鳴きはじめ、日中は気温の上昇を喜ぶように全力で鳴き、夕方は一日の終わりを嘆くように細々と鳴く。炎天下のセ…

今そこにいる奇跡

これを読んでいる人は、コードと聞くとアプリケーションを作るプログラミング言語や、ウェブサイトを構築するCSSを思い浮かべるかもしれない。だが、実はあなた自身の身体もコードでプログラムされている。人間だけではなく、地球に存在するすべての動植物は…

ペプシネックスゼロ

人は様々なものを失いながら生きている。子供の頃はオモチャを失くして泣き、学生の頃は彼女にふられて泣き、大人になったら若さを失って嘆く。だが、人は失うものがあるからこそ得るものがある。新しいオモチャ、新しい彼女、そして大人の楽しみ。人生はそ…

笑う動物

数ヶ月前から犬を飼い始めた。今年の初めに生まれたトイプードルで、そろそろパピーの時期も終わる頃なのに、人の手はガブガブと噛むし、トイレもなかなか覚えてくれず粗相ばかりしている。それでも可愛いくてしかたがないのだが、最近犬と遊んでいて気づい…

秒速30万キロメートル

「ねぇ」 「ん?」 「あのさぁ」 「なに?」 「もうこうやって電話で話すのキツいんだけど」 「どういうこと?」 「だから、遠距離で会えないのがツラいってこと」 「そっか。でも会って話すより、こうやって携帯で話してるほうが近いんだよ」 「どういうこ…

アインシュタインがいない世界

史上最も美しい方程式といえば「E=mc2」だろう。1905年にアインシュタインが発見し、その後に実用化され世界を変えた方程式。物理学者は自然の法則をできるだけシンプルな等式で解明しようと夢見るが、その夢を具現化したのが「E=mc2」だ。Eはエネルギー、…

逆さメガネ

人は眼の水晶体を通して世界を見ている。厳密には世界をそのまま見ているのではなく、物体に反射する光を見ている。光は凸レンズの水晶体を通って屈折する。屈折した光は上下と左右が反転するため、眼の奥の網膜に映る像も反転している。その映像をもう一度…

魔法の弾丸

20年ほど前の話になるが、深夜に猛烈な歯痛に襲われ救急車を呼ぼうとしたことがあった。救急車なんて大袈裟だと思うかもしれないが、本当にのたうち回るぐらい痛くて悶絶していたのだ。ただ、さすがに歯痛で救急車はないだろうという理性が残っており、なん…

豊かな時間

先月から家でトイプードルを飼い始めた。まだ子犬で、ウン○コやオシッコは床にするし、甘噛みは甘えを通り越して痛いし、何かと世話がやけるのだが、そんな煩わしさを忘れるぐらい愛くるしくて、ついつい可愛いいでちゅねーとバブちゃん語を使ってしまい、家…

9つの成功法則『世界最強の商人』

2005年6月、膵臓癌の手術を終えたスティーブ・ジョブズは、スタフォード大学の卒業スピーチでこのような名言を残した。私は17の時、こんなような言葉をどこかで読みました。確かこうです。「来る日も来る日もこれが人生最後の日と思って生きるとしよう。そう…

数学は発見か発明か『神は数学者か?』

ルネサンスの彫刻家ミケランジェロは、自分の彫刻は大理石のなかに初めからあって、それを掘り出しているだけだと考えていた。電気と磁気の統一理論を編み出したマクスウェルも、方程式を発見したのは自分の中の何かであって、自分ではないと告白している。…

科学エッセイの傑作『ご冗談でしょう、ファインマンさん』が電子書籍で登場

ファインマンの傑作エッセイ『ご冗談でしょう、ファインマンさん』が電子書籍で発売された。リチャード・P・ファインマンは1965年にノーベル賞を受賞した理論物理学者。素粒子の反応をダイアグラムで図式化したり、素粒子の動きを経路積分で計算して、量子電…

あなたを突き動かすもの『意識は傍観者である』

本を読んでゾクゾクしたのは久しぶりだ。『意識は傍観者である』は神経科学者のデイヴィッド・イーグルマンによる脳科学の本。人は目や耳で情報をインプットして、口や手でアウトプットする。この一連の流れを自分でコントロールしていると錯覚するが、大部…