2015-01-01から1年間の記事一覧

遺伝の仕組みを解き明かした『二重らせん』

ダーウィンは進化の仕組みを解き明かしたが、遺伝の仕組みについては誤った考え方をしていた。黄色の花と緑色の花を掛け合わせると黄緑色になると考えていたのだ。交配が進むにつれて特徴が薄くなると、環境に有利な形質を残すことはできない。その問題を解…

自然と数学の関係を紐解く『黄金比はすべてを美しくするか?』

ピラミッドの高さ、モナ・リザの構図、ハヤブサの飛行コース、宇宙の銀河など。黄金比は様々な場面で登場するが、その信憑性を検証しつつ、数学と自然の関係を見事に紐解いたのが、マリオ・リヴィオの『黄金比はすべてを美しくするか?』だ。黄金比を最初に…

一家に一冊『元素生活』

日常生活の中で元素を意識することはあまりない。元素を知らなくても呼吸はできるし、食べることもできるし恋もできる。だが、生きていく上で知っておいたほうがいいこともある。ベリリウムを加工するには防護服が必要だとか、テルルは名前が可愛いいわりに…

極上のサイエンスミステリー『偉大なる失敗』

今年は一般相対性理論の誕生100周年。書店を訪れるとアインシュタインの特集が目に付くが、中でもひときわ異彩を放っている表紙がある。アインシュタインが困った顔をしてたたずむ表紙だ。思わず手に取り読み進めると、これが極上のポピュラーサイエンス本だ…

未来ある子供に読ませたい『とんでもなく役に立つ数学』

タイトルは軽いが中身は濃い一冊。『とんでもなく役に立つ数学』は、東京大学の西成教授が高校生に講義した内容をまとめた本。ツールとしての数学の価値と、数学が好きになるための秘訣を丁寧に教えてくれる。例えば微分方程式で振動を制御し、ベイズ推定で…

『100の思考実験』で想像力を鍛える

理性を伴わない想像力はただの空想だが、想像力を伴わない理性は無味乾燥である。こんな書き出して始まる『100の思考実験』は、私たちの想像力を試す。著者はイギリスの哲学者ジュリアン・バジーニ。ウィトゲンシュタインの言語論から映画マトリックスのワン…

進化生物学の入門書として最適な『進化とは何か』

リチャード・ドーキンスの代表作といえば『利己的な遺伝子』だが、進化生物学のバックグラウンドがない状態で読むとなかなか理解できない。生物を遺伝子の乗り物として捉えた画期的な理論なのだが、比喩が巧みすぎて事実と憶測の区別がつかないのだ。『利己…

考え抜く力『種の起原』

科学関連の本を読んでいるとダーウィンの名前が頻繁に登場する。生物学に限らず、宇宙学や脳科学など様々な分野でダーウィンが引用される。なぜならダーウィンは、種が個々に創造されるという既成概念を打ち破り、自然選択という理論で生物の起源を解明した…

エウロパに地球外生命を夢見て

地球のような惑星は宇宙に100億以上あると言われているが、私が生きている間に知性のある地球外生命体と接触する可能性は極めて低い。なぜなら、私たちが地球で電波を使うようになったのは100年ほど前であり、その電波は既に100光年先まで届いているはずなの…

『直感を裏切る数学』は仕事や暮らしにも役立つ

先日紹介した『知のトップランナー』で、音楽家のブライアン・イーノが面白いコラムを書いていた。テーマは直感の限界。地球の円周より1メートル長いリボンを使って、地球の表面とリボンの間が等しくなるように地球を囲むと、地球の表面からリボンはどれだけ…

科学の名言集『知のトップランナー 149人の美しいセオリー』

私は仕事柄、ソフトウェアやハードウェアの仕様を短い文章でまとめる機会が多い。複雑に絡み合った条件を日本語で分かりやすく説明する。すべての条件を満たす短文が仕上がると嬉しい。試行錯誤を繰り返していると、カチッとはまる瞬間があるのだ。自然科学…

疑問を持つことの大切さ『知ろうとすること。』

私がいつも部下に教えているのは、自分で考えることの大切さだ。目の前で起きた問題に対して表面的な事象にとらわれず、深く追求して真実を解き明かす。物事に対して常に疑問を持つ。そんな想いが伝わった人はいい仕事をしてくれるし、伝わらない人はロボッ…