進化生物学の入門書として最適な『進化とは何か』
リチャード・ドーキンスの代表作といえば『利己的な遺伝子』だが、進化生物学のバックグラウンドがない状態で読むとなかなか理解できない。生物を遺伝子の乗り物として捉えた画期的な理論なのだが、比喩が巧みすぎて事実と憶測の区別がつかないのだ。
『利己的な遺伝子』を読むなら、その前に『進化とは何か』を読んでおくといい。本書はリチャード・ドーキンスが10代の学生にレクチャーした内容を一冊にまとめたもの。講演が行われたのは1991年だが、今でも色褪せることなく私たちを進化の世界に導いてくれる。
第1章 宇宙で目を覚ます
第2章 デザインされた物と「デザイノイド」(デザインされたように見える)物体
第3章 「不可能な山」に登る
第4章 紫外線の庭
第5章 「目的」の創造
第6章 真実を大事にする ー 吉成真由美インタビュー
私たちは現在しか見ない。今いる動物は完成されたものだと錯覚しがちだが、実際は中間形態であり最終形は存在しない。地球上の動物はすべて、同じDNAコードでできた親類で、30〜40億年前に誕生したバクテリアの祖先だ。
本書はこのような進化の真実をイラストや模型を使って丁寧に教えてくれる。宇宙が誕生して地球が生まれ、生命が誕生して生物が進化する。そのスケールを感じることができるはずだ。