2014-03-01から1ヶ月間の記事一覧

薬にまつわる驚きの定説『遺伝子が明かす脳と心のからくり』

『教養のためのブックガイド』に登場する石浦章一教授の話が痛快で、試しに著書を読んでみたらやはり痛快で面白かった。『遺伝子が明かす脳と心のからくり 』は、東京大学教養学部の講義で石浦教授が語った内容をまとめた本。石浦教授の専門は分子生物学で、…

時計への情熱を描いた『経度への挑戦』

スマートフォンなどのGPSは、時計を利用して位置を特定する。地球の上空には原子時計を載せたGPS衛星が24基あり、GPS受信機はそのうち4基と通信する。その際の送信時間と受信時間の差をナノ単位で計測して、現在位置を割り出す。3000年に1秒しかずれない原子…

なぜポアンカレ予想が解けたのか『完全なる証明 ー 100万ドルを拒否した天才数学者』

2000年5月、アメリカのクレイ数学研究所は、数学における7つの未解決問題に100万ドルの懸賞金をかけた。7つの問題とは「ヤン=ミルズ方程式と質量ギャップ問題、リーマン予想、P≠NP予想、ナビエ=ストークス方程式の解の存在と滑らかさ、ホッジ予想、ポアンカ…

科学と文学のはざまで『虹の解体』

リチャード・ドーキンスの言葉は刺さる。専門の進化生物学だけでなく、物理学、数学、医学、統計学、心理学、芸術など、数多の知識をまとって振り下ろす言葉は、まるで刀のように鋭い。詩人のキーツはニュートンを批判した。ニュートンが虹を物理的に解体し…

同期現象の解明に挑む『SYNC ー なぜ自然はシンクロしたがるのか』

世界を記述する言語は数学である。これはガリレオの名言だが、確かに私たちの身の周りは方程式で満ちあふれている。先日も街を歩いている時、ふと、影の長さが気になった。太陽の位置が移動すると影の長さも変わるが、この長さは三角法で特定できるのだろう…

東大教授による『教養のためのブックガイド』50選

何のために本を読むのかと聞かれたら、書くためだと答える。何のために書くのかと聞かれたら、知るためだと答える。何のために知るのかと聞かれたら、考えるためだと答える。答えは用意してあるのだが、聞かれたことは一度もない。東京大学教授による『教養…

未来ある子供に読ませたい『教養としてのプログラミング講座』

2013年6月、安部総理は経済政策の一環として、義務教育の段階からプログラミング教育を推進すると発表した。既に2012年から中学校の科目の一部にプログラミングが取り入れられているが、義務教育への本格導入に向けて、2016年までに教育者のスキルを標準化す…

スカートの下に劇場ができるまで『パンツが見える。− 羞恥心の現代史』

私はどちらかといえば、モロに見えるよりパンチラのほうが好きだ。パンチラは想像力を喚起する。見てしまった自分と見られてしまった相手との間で、自分勝手で楽しい物語が始まる。だが、実際にストーリーが進んで隠れていた部分が見えてしまうと、映画のエ…