未来ある子供に読ませたい『教養としてのプログラミング講座』

201403081716552013年6月、安部総理は経済政策の一環として、義務教育の段階からプログラミング教育を推進すると発表した。既に2012年から中学校の科目の一部にプログラミングが取り入れられているが、義務教育への本格導入に向けて、2016年までに教育者のスキルを標準化すると宣言している。

そんな流れの中で登場したのが、清水亮さんの新刊『教養としてのプログラミング講座』。清水さんはタブレット型のプログラミング端末enchantMOONを開発したUEIの代表。ブログ「UEI shi3zの日記」も名高いので、知ってる方は多いはずだ。


本の目次
Chapter1 プログラミングはあなたの隣に
Chapter2 コンピュータ要らずのプログラミング入門
Chapter3 今すぐ役立つプログラミングテクニック
Chapter4 簡単コンピュータプログラミング講座
Chapter5 プログラミングの未来


本書に英数字はほとんど登場しない。プログラミングに必要な技術を、身近な生活にたとえて解説してくれる。例えば、パイプラインを料理人と配膳係の関係に、バッファリングを長篠の戦いの鉄砲隊に、メインルーチンとサブルーチンを歌の歌詞に置き換える。

プログラミングは「自分以外のものを思い通りに動かす方法」であり、経営や教育も一種のプログラミングだと教えてくれる。そしてなにより、プログラミングを学ぶことで「論理的なものごとの考え方」が身に付くと言う。


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各章の末尾にあるコラムは読み応えがある。自動計算機とIBMの誕生、戦争とコンピュータの関係、インテルマイクロソフト、アップルの興隆など、ブログの記事にしたら全てホットエントリに入るぐらいの内容の濃さだ。

Chapter4でMOONBlockを使ったプログラミングを体験できるところも嬉しい。MOONblockとはブロックで直感的に組み立てられるビジュアルプログラミング言語。画面のデザインをもう少し柔らかくすれば教育機関にも売り込めるのではないか。


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清水さんは6歳からプログラミングを始めたそうだ。6歳で本書を理解するのは難しいかもしれないが、小学校3年生程度なら問題ないだろう。

教養と知識は違う。知っているだけでは物事を判断して決定することができないが、教養として身に付けると、自分で考え、どのように対処するか決めることができる。未来を切り開くことができるのだ。

本書を書棚に置いておき、子供が手に取る日を待ちたい。

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