科学の名言集『知のトップランナー 149人の美しいセオリー』
私は仕事柄、ソフトウェアやハードウェアの仕様を短い文章でまとめる機会が多い。複雑に絡み合った条件を日本語で分かりやすく説明する。すべての条件を満たす短文が仕上がると嬉しい。試行錯誤を繰り返していると、カチッとはまる瞬間があるのだ。
自然科学の世界でも同じことが言える。
ニュートンの万有引力やアインシュタインのエネルギー保存法則。ワトソンとクリックの二重らせんやダーウィンの自然淘汰など。世界を端的に記述する理論は美しい。
『知のトップランナー149人の美しいセオリー』は、そのような美しい理論を集めた本。
あなたのお気に入りの、深遠で、エレガントで、美しい説明は何ですか?
そんな問いに対して、リチャード・ドーキンスやジャレド・ダイアモンドなど、科学の最前線にいる巨人がお気に入りのセオリーを紹介する。
タイトルの一部はこちら。
- 自然淘汰による進化(スーザン・ブラックモア)
- 生命はディジタル暗号である(マット・リドレー )
- 雪の結晶といくつもある宇宙(マーティン・J・リース)
- 言語と自然淘汰(キース・デブリン)
- プレートテクトニクスは大陸移動をエレガントに証明する(ポール・サフォー)
- ウミガメの一部はなぜ回遊するのか(ダニエル・C・デネット)
- イセエビからネコにどうやってたどり着くか(ジョン・マクウォーター)
- 情報が不確定性を少なくする(アンドリュー・リー)
- レモンは速い(バリー・C・スミス)
- なぜ太陽は今も輝き続けるのか?(バート・コスコ)
- 直感の限界(ブライアン・イーノ)
- なぜプログラムにはバグがあるのか(マーティ・ハースト)
- 空間の真の回転対称(セス・ロイド)
- パスカルの賭け(ティム・オライリー)
- あなたの指先のセックス(サイモン・バロン=コーエン)
- オッカムのかみそり(カティンカ・マトソン)
- ヒョウの斑点はどうしてできたか(サミュエル・アーベスマン)
- ユニバーサル・チューリング・マシン(グロリア・オリッジ)
難しい数式は登場しないので、次へ次へとページをめくることができる。読み進めるたびに新しい発見がある。科学の名言集としても読めるし、知の道しるべにもなる一冊だ。