『直感を裏切る数学』は仕事や暮らしにも役立つ
先日紹介した『知のトップランナー』で、音楽家のブライアン・イーノが面白いコラムを書いていた。
テーマは直感の限界。
地球の円周より1メートル長いリボンを使って、地球の表面とリボンの間が等しくなるように地球を囲むと、地球の表面からリボンはどれだけ浮くか。
地球の一周は4万キロもあるので隙間はほとんどないと思ったのだが、計算すると1メートル長いだけで16センチも浮くそうだ。
この距離をイメージできたのは数学者と服飾デザイナーだけとのこと。日頃から訓練したり体感していないと、直感は外れやすいという実例だ。
『直感を裏切る数学』は、そんな実例を沢山紹介してくれる。
データ、確率、図形、論理。それぞれの章で様々なエピソードが紹介されているが、中でも腑に落ちたのは「モンティホールの穴」の話。
箱が3つあり、1つは当たり、2つは外れが入っている。あなたが箱を1つ選ぶと、相手が残りの2つから外れを1つ開けてくれる。ここであなたは箱を選び直すことができるが、そのまま最初の箱にしておくか、別の箱に変えるか、どちらのほうが当たりやすいか。
2回目に選ぶ時点で片方は当たり、片方は外れのため、選び直しても確率は変わらない気がしないだろうか。
見かけの数字やイメージに疑問を持つ。仕事や暮らしでも身につけておきたい思考法だ。
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