重力を忘れる小説 #5novels


20160426215807

「本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ」春は、誰に言うわけでもなさそうで、噛み締めるように言った。「重いものを背負いながら、タップを踏むように」それは詩のようにも聞こえ、「ピエロが空中ブランコから飛ぶ時、みんな重力のことを忘れているんだ」と続ける彼の言葉はさらに、印象的だった。

重力ピエロ  


きっかけは伊坂幸太郎だった。

Twitterで誰かと映画の話をしていて、アヒルと鴨のコインロッカーを勧められた。それを見ていた伊坂幸太郎ファンが、次々と小説を推してくる。ゴールデンスランバー、オーデュボンの祈り、魔王、重力ピエロ...

どの物語もラストが素晴らしかった。最後のページでアドレナリンが分泌され、最後の一行で鳥肌が立ち、静かに興奮した。

そして、伊坂幸太郎だけではなく、私が知っている最高の小説を誰かに伝えたい。そんな気持ちが徐々に湧いてきた。

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