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遺伝の仕組みを解き明かした『二重らせん』

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20150412115051ダーウィンは進化の仕組みを解き明かしたが、遺伝の仕組みについては誤った考え方をしていた。黄色の花と緑色の花を掛け合わせると黄緑色になると考えていたのだ。交配が進むにつれて特徴が薄くなると、環境に有利な形質を残すことはできない。

その問題を解決したのがメンデルだ。緑色の花と黄色の花を掛け合わせると、最初は黄色の花ができるが、その花を掛け合わせるとまた緑色の花ができる。メンデルは遺伝情報は変化せず、そのまま受け継がれる事を突き止めた。

だが、メンデルも遺伝情報を複製する仕組みまでは分からなかった。それを解き明かしたのが、『二重らせん』の著者ジェームズ・ワトソンと、共同研究者のフランシス・クリックだ。

ワトソンとクリックはデオキシリボ核酸(DNA)の構造を解析し、二本の鎖にアデニンとチミン、グアニンとシトシンの塩基が並ぶモデルを組み立てた。

遺伝情報は塩基の並び順でコーディングされる。二本の鎖の間で結合する塩基は決まっているため、鎖が分離しても一方の並び方が分かっていれば元の構造が再現できる。これが遺伝の仕組みだ。

ワトソンとクリックは、実際に分子模型を動かすことで塩基の配置法則を見つけた。それはまるで数学のパズルのようで、答えが見つかるのは一瞬だったが、見つかるまでは試行錯誤の連続だった。

そこには科学者同士の人間臭いドラマがある。X線写真を撮影した結晶学者との攻防。三重らせんを提唱した生化学者との駆け引き。ワトソンとクリックは自分たちが最初の発見者になるべく、様々な手を尽くした。

『二重らせん』にはそのあたりの顛末が生々しく書かれている。これを読んで思うのは、やはり歴史に名を残すような人間はエゴが強く、粘り強いということだ。考え抜く力が飛び抜けている。

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