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人は遺伝子を超えられるか

Essay

最近、遺伝子について考えることが多い。

人間のすべての細胞に格納されている23対46本の染色体。染色体の中で折り畳むように並ぶAGTCの塩基配列。0.1%の違いで他人になり、1%の違いでチンパンジーになる30億文字のコード。鎖をほどいて染色体をコピーする二重らせんの仕組み。遺伝子は、考えれば考えるほど奥が深く神秘的だ。

例えば祖父母が孫を可愛がる理由。

赤ちゃんは無垢だとか子育てを思い出すとか、理由は様々だと思うが、自分自身の遺伝子を引き継いでいることが最も大きな理由ではないか。祖父母の染色体はそのまま親に引き継がれ、親の染色体はそのまま子供に引き継がれる。だから隔世遺伝がある。まったく同じ人間が生まれないのは、各部を作る遺伝子の組み合わせがランダムだからだ。

例えば犬のオシッコ。

雄の犬は足を上げてオシッコをするが、雌の犬は座ってオシッコをする。生まれてすぐに親から引き離され、誰からも教えてもらってないのに、どの犬も同じ行動をする。遺伝子のコードで、そのようにプログラムされているのだろう。

例えば恋人を選ぶ基準。

恋人や結婚相手を選ぶ基準は様々だが、生物としての目的はより良い遺伝子の存続に尽きる。だから男性は若くて健康な女性に惹かれるし、女性は強くて能力のある男性に惹かれる。容姿や家柄が良く、収入も気品も高い相手を選ぶ理由は、突き詰めると遺伝子のコピーのためだ。

リチャード・ドーキンスは、生物は遺伝子によって利用される乗り物に過ぎないと言った。遺伝子の目的は自分に似た遺伝子を増やすことで、そのために個体を利用しているそうだ。では、人は遺伝子でプログラムされていること以上のことはできないのだろうか。

答えはそうでもあるし、そうでもないとも言える。

生物としてのベースは遺伝子で決まるが、筋肉はトレーニングで発達するし、脳のシナプスは学習することで結合を変える。生まれた後に獲得した能力は子供に遺伝しないそうだが、裏を返せば、生まれた後に親の遺伝を超えることはできるということだ。

人は遺伝子の論理を飛躍したとき、限界を突破するのだろう。


参考書籍

遺伝子・脳・言語―サイエンス・カフェの愉しみ (中公新書)

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赤の女王 性とヒトの進化 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

赤の女王 性とヒトの進化 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

利己的な遺伝子 <増補新装版>

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  • 作者: リチャード・ドーキンス,日高敏隆,岸由二,羽田節子,垂水雄二
  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2006/05/01
  • メディア: 単行本
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