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全員反対したものだけが一考に値する(諸井貫一)

Essay

先日、二作目の小説『ベンハムの独楽』を出版した。ジャンルは私小説で、設定は架空のものだが自分の体験を随所に盛り込んだ物語になっている。有り難いことに何件か感想を戴いたのだが、その中で最も印象に残ったのはtomk59さんのコメントだった。

とても素敵な良い話だった。文章はシンプルで詩的でもあり読みやすい。一方で、話が良かっただけに、もっと表現が練られてて細部の描写がされていてもおもしろいだろうなと思った。次作もあるなら楽しみにしてます。(ブクログ

このコメントを読んで思い出したのが、諸井貫一の名言だ。

マジョリティが現在を作り、マイノリティが未来を創る。全員反対したものだけが一考に値する。経営者はこうしたマイノリティの理論を駆使しなければならない。(諸井貫一)

諸井貫一はセメント会社の社長や日経連の初代会長を務めた経営者で、20世紀中頃に活躍した経済界のリーダーだ。この名言は数年前に知ったのだが、それ以来、何かにつけて思い出すことが多い。

普段会社で仕事をしていると感じるのだが、自分に対する賛成意見は背中を押してくれるものの、新たな発見はあまり得られない。逆に反対意見は最初は受け入れるのが難しいが、後から新しい視点をもたらしてくれる。

tomk59さんのコメントは完全な反対意見ではないが、問題点を的確に指摘してくれた。

いま『ベンハムの独楽』を読み返してみると、話の流れについていけない箇所が目につく。推敲を重ねて完璧に仕上げたつもりだったのに、どうしても主観を外せないところがある。これはセルフパブリッシングの弱点なのだろう。

ただ、細部を書き込むことでもっと読者を引き寄せる事ができるはずだ。構成を整えることでもっとスムーズな流れにできるはずだ。そういう点で、tomk59さんの指摘はとても有り難かった。

とはいうものの、作者としてはやはり肯定的な感想を沢山もらえると嬉しいので、コメントの最後を励みに、三作目の準備を始めようと思う。

「次作もあるなら楽しみにしてます」