怒りのまえにあるもの
どう見えているのか分からないが、こう見えても普段は会社で仕事をしている。十数人の部下を抱えて一つのプロジェクトを管理しているのだが、仕事に対してはけっこう厳しい。
部下が間違ったことをすれば怒るし、上司の指示が間違っていれば指摘する。先日も部下の行動にあまりに腹が立ったので、ついつい怒鳴ってしまったのだが、感情的になるとだいたい後悔する。
部下の判断にも一理あったのかもしれない。冷静に分析して諭すべきだった。怒ったら負けだといつも言っているのは自分ではないか。そんな風に悶々と考えていたら、ふとあることに気づいた。それは、人は怒る前に「驚いている」のではないかということだ。
たとえば、部下の行動が自分のポリシーとかけ離れていて驚く。子供の行動が自分の常識とずれていて驚く。列に横入りする人を見て無神経さに驚く。そんなとき人は怒りを感じるはずだ。
車を運転する人は思い出してみて欲しい。人や車が目の前に飛び出してくるとびっくりしてブレーキを踏むが、そのあと反射的に怒ったことはないだろうか。
脳のメカニズムでいえば、感情が生まれる扁桃体で「驚き」、自立神経をコントロールする脳幹で「頭に血が上り」、シナプスでスパークして「怒鳴る」。そんな流れだろうか。
今度あなたも怒ることがあったら、その直前に驚いていなかったか考えてみて欲しい。怒りの仕組みが分かれば、次から冷静になれるかもしれない。
とはいうものの、反射的な怒りをコントロールするのは難しい。さっきも息子から突然「ばぁ!」と驚かされ、怒ってしまったばかりだ。
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