黄金色の朝

娘が高校に上がり、電車で通学するようになった。駅までは自転車で行くことになっているのだが、何かと理由をつけられ、学校まで車で送ることがある。

学校までは車で往復40分。それほど遠いわけではないが、1日24時間の中の40分と考えると、無駄な時間に感じて、ついつい小言を言ってしまう。

先日も早朝から車で送ることになった。面倒だと思いながら運転していると、ナビの画面が目に留まった。アーティスト名「きのこ帝国」、曲名「クロノスタシス」。

娘のiPhoneを通して、きのこ帝国の曲が流れてきた。クロノスタシスはアナログ時計を見た瞬間に秒針が止まって見える現象で、このブログでも書いたことがある。

当時のコメントで、クロノスタシスがきのこ帝国の曲名で使われていることを知った。そこでMVをいくつか観たのだが、当時はあまりピンと来なかった。

ただ、あれから数年経ったいま、車の中で流れる「クロノスタシス」は良かった。淡々とした曲の中に温もりがあり、芯のある歌声に優しさがあった。

娘を学校で見送り、他の曲も聴く。金木犀の夜、猫とアレルギー。川の向こうから、黄金色の朝陽がのぼった。無駄だと思っていた時間が、ノスタルジーに包まれる。