親父と新聞とトイレ
私が小さい頃、親父はよくトイレで新聞を読んでいた。いつも長居するので家族から文句を言われる。
「お父さん早く!」
「まだ??」
「もれる!」
すると親父は中から弁明する。
「もうっ … ちょっとだから」
おそらく … のところで踏ん張ったのだと思うが、その後にまた新聞をめくる音が聞こえるので、急ごうという気はない。書斎があるのに、なぜトイレに籠って新聞を読むのか。小さい私には理由が分からなかった。
あれから数十年が経ち、私も家族を持った。子供がいる賑やかな家で暮らしているが、近頃トイレに居座る事が多くなった。狭い密室が妙に落ち着く。たいして出るものもないのにズボンを下ろし、iPhoneでTwitterを見たり記事を読んだりしている。
iPadは大きいので持って入る事は少なかったが、こんなペーパーホルダ付きのスタンドがあったら最高だ。映画まで観てしまうかもしれない。結局、新聞がiPhoneやiPadに変わっただけで、親父と同じ事をしている。ドアをドンドン叩かれる。
「お父さん早く!」
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