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薬にまつわる驚きの定説『遺伝子が明かす脳と心のからくり』

Book

20140330170652

教養のためのブックガイド』に登場する石浦章一教授の話が痛快で、試しに著書を読んでみたらやはり痛快で面白かった。

遺伝子が明かす脳と心のからくり 』は、東京大学教養学部の講義で石浦教授が語った内容をまとめた本。

石浦教授の専門は分子生物学で、本書では遺伝子と脳と心の関わりを丁寧に教えてくれる。序盤は脳と薬の話が中心で、私が驚いた内容はこちら。

  1. うつ病になると脳の中でセロトニンの分泌量が減る。プロザックという薬はセロトニンの消失を抑制するが、セロトニンが増え過ぎると人は暴力的になる。
  2. 高所恐怖症と閉所恐怖症に効く薬は発見されていないが、薬が効かないということは脳の問題ではなく、社会的な問題や教育の問題となる。
  3. 日本で胃潰瘍が減ったのは、胃酸の放出を抑える薬・H2ブロッカーが発見されたから。そういえば最近、胃潰瘍という病気を聞かない。
  4. バファリンの成分はアスピリンで、アスピリン1錠の原価は6円程度。バファリン1錠の価格はというと…
  5. 80ミリグラムのアスピリンを毎日飲むと、血がサラサラになって動脈硬化が抑えられる。つまり、同じ容量である小児用バファリンを毎日飲むと長生きできる。
  6. 人の気分を変える成分にカフェインとアンフェタミンがあるが、一方はコーヒーとして広く認められ、一方は覚醒剤として違法になっている。
  7. 覚醒剤のアンフェタミンは当初は喘息の薬として広まったが、精神的に高ぶる副作用が見つかった。日本では違法だが、アメリカのパイロットは、夜間飛行時や連続飛行時にアンフェタミンが処方される。
  8. タバコのニコチンはアセチルコリンと同じ作用があるので集中力が増すが、ニコチンを摂取するとアセチルコリンが出なくなり、タバコを吸っていないときの知的能力が下がる。一ヶ月禁煙するとアセチルコリンの分泌が正常な量に戻る。
  9. 統合失調症にはクロルプロマジンという薬が効くが、この薬が脳のドーパミンの放出を抑えている事が分かった。そこから幻覚や妄想の原因が、ドーパミンの異常な放出にあると判明した。
  10. パーキンソン病はドーパミンの不足が原因だが、コカインはドーパミンの消失を抑える。コカインは当初、コカ・コーラにも入っていた。


教授の話だからといって鵜呑みにするのはよくない。信憑性は自分で確かめる必要がある。と、頭では分かっているのに石浦教授の話には乗せられる。

どんでん返しが多くて引き込まれるのだ。ある事実に対して、ところが、ところがとまくし立て、最後に落ちまで用意してあるので思わず身を乗り出してしまう。

動体視力や走力、酒の強弱やリスクセンスなど、人は様々なものが遺伝すると言われているが、痛快な話ができる遺伝子もあるのではないか。

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