植物の神秘、動物の知恵

蓮と亀


愛知県春日井市潮見坂平和公園に、蓮を見に行ってきた。6月は紫陽花のイメージが強いが、蓮の開花時期でもある。

蓮は花も綺麗だが、葉に特徴がある。蓮の葉は泥の中で開き、水面に出ると泥水が玉のように落ちる。葉の表面が撥水するからだ。

蓮の葉をナノレベルで拡大すると、小さな突起が無数に見える。この突起と突起の間にある空気がクッションの役目を果たし、水を弾く。突起のおかげで水との接触面積が極端に小さくなっているのだ。

このメカニズムは建物の外壁に使う塗料や、自浄作用を持つガラスに利用されている。蓮の英語名から、ロータスエフェクトと名付けられた。

植物だけではない。動物の知恵も時に目を見張るものがある。くもの糸は強靭なナイロンに応用され、ヤモリの足は接着構造の手本になっている。

砂漠に棲息する甲虫は、霧の中で水を集める。親水性の突起が霧の中の水滴を引きつけ、水滴が大きくなると撥水性の通路で口に運ぶ。

私が見ている間、蓮の上の亀はまったく動かなかったが、実は物凄いことをしていたのかもしれない。

潮見坂平和公園 on RyoAnna's Flickr / ヤモリの指(早川書房)