2014-01-01から1年間の記事一覧
宇宙について考えると不思議な感覚に包まれる。地上に立つ自分、空から見た自分、日本の地形、月から見た地球、太陽系の地球、無数の銀河、そして膨張する宇宙。人間は宇宙のスケールで見ると極めて小さい存在だ。なのに恋や仕事に一喜一憂し、人生を送って…
私たちは世界共通語として英語を学ぶよう教育されているが、その方針は正しいのだろうか。確かに英語を母国語とする人口は中国語の次に多いため、共通語として相応しいのかもしれない。だが、言語学的に見て英語は理解しやすく、合理的な言葉なのだろうか。…
NHK出版の新刊『ルポ 電王戦』は、コンピュータ将棋の歴史と人間との対決を熱く語った新書。著者はコンピュータとプロ棋士の対決を初めて提案した将棋観戦記者。2007年に行われたそのBonanzaー渡辺戦が実現したからこそ、コンピュータ対プロ棋士の電王戦が毎…
未来予測は面白い。いくら荒唐無稽で根拠のないものでも、当たるか外れるかは誰にも分からないからだ。まだ起きてない未来は誰に対しても平等に存在している。素人でも専門家でも予測である事に変わりはない。だが、専門家は当たる確率を引き上げる。ジョー…
以前紹介した『世界を変えた17の方程式』が電子書籍になった。本書は昨年出版された数学者イアン・スチュアートの傑作。ピタゴラスの定理やアインシュタインの相対論など、方程式が世界をどのように変えたのか教えてくれる。方程式の意味を単純に解説するだ…
多くの高校では2年に上がるタイミングで文系と理系に別れるが、文系を選ぶ理由は消極的なものが多い。数学が苦手だからとか、なんとなくみんな文系だからとか。まれに女子が多いからという積極的な理由もあるが、往々にして文系は流されて選んでいるように思…
レゴには不思議な魅力がある。子供にとっては組み立てる楽しさがあり、大人にとってはオブジェとしての価値がある。大人にとっても創造する楽しさがあり、完成された製品ではなく、自由にアレンジできるところに最大の魅力がある。そんなレゴのブランド力は…
私はマインドマップが苦手だ。吹き出しや矢印が四方八方に配置されていると、どこから見ればよいのか分からず混乱する。要素の繋がりがはっきりせず、言いたいことが頭に入ってこない。マインドマップを見るのが苦手だから作るのも苦手で、本の目次のように1…
10年程前にEdyが登場した時、私は懐疑的だった。わざわざ現金を電子マネーに交換して買い物をするメリットはあるのか。チャージだけして利用しないと、運営会社は儲かるが消費者は損をするのではないか。そう思っていたのだが、実際には交通系マネーと共に広…
写真は一瞬で時代を切り取る。1961年にピュリツァー賞を受賞した写真「舞台上での暗殺」 は、社会党書記長の浅沼稲次郎が日本刀で刺殺される瞬間が収められた。1991年の「南アフリカの抗争」では人が炎に包まれる瞬間が収められ、2002年の「世界貿易センター…
ジャレド・ダイアモンドはアメリカの進化生物学者で、『銃・病原菌・鉄』でピュリッツァー賞を受賞したサイエンスライターだ。フィールドワークをベースにしているため主張に説得力があり、語りかけるような文体と絶妙な比喩が読者を惹きつける。そんなジャ…
ある三乗数を二つの三乗数の和で表すこと、あるいは、ある四乗数を二つの四乗数の和で表すこと、および一般に、二乗よりも大きいべきの数を同じべきの二つの数の和で表すことは不可能である。私はこの命題の真に驚くべき証明を持っているが、余白が狭すぎる…
昨年公開され大ヒットを記録した映画『ゼロ・グラビティ』がiTunes Storeに登場した。価格は販売が2500円、HDレンタルが500円。販売版には特典映像も付いている。
家を建てるのは一生に一度あるかないかのイベントだ。外観、日照、内装、間取り、環境、価格、様々な条件に折り合いをつけながら、最後にこれだと決める。私が購入したのは建売りだったが、それでも要望は沢山あった。東京大学の松原隆一郎教授は、1万冊の蔵…
幸いにも私は今まで花粉症や喘息に悩まされることはなかったが、食物に対するアレルギーはある。それは甲殻類アレルギーと呼ばれているもので、エビやカニを食べると唇や食道が赤く腫れて炎症を起こす。発症したのは大人になってからで、子供の頃はエビフラ…
進化生物学者のロビン・ダンバーは、ことばの起源がサルの毛づくろいにあると主張する。通常チンパンジーは50匹程度の群れで行動するが、50匹という数は毛づくろいでコミュニケーションがとれる上限数と一致する。チンパンジーは比較的安全なジャングルで暮…
タバコをやめたら絵に描いたようにお腹が出てきたのでジョギングを始めたが、いつの間にかダイエットは二の次になり、一番の目標はタイムになっていた。インターバル走やビルドアップ走を取り入れ、1km・4分台を目指して汗だくになって走る。乳酸で足が動か…
私は仕事柄、人が書いた文章を添削する機会が多いが、読んでいて一番気になるのは言葉の選び方だ。例えば「ことがある」と書くべきところで「ときがある」と書いていたり、「中央」と書くべきところで「真ん中」と書いていたり。選ぶべき単語は前後の文脈と…
ライト兄弟が長時間飛行に成功!という記事を新聞で読み、二宮忠八は製作中の飛行機を自ら破壊した。世界初の飛行機を作る夢が、文字通り木っ端微塵に砕かれた。20世紀初頭はアメリカや日本だけでなく、ドイツ、イギリス、フランスなど、世界で同時多発的に…
『教養のためのブックガイド』に登場する石浦章一教授の話が痛快で、試しに著書を読んでみたらやはり痛快で面白かった。『遺伝子が明かす脳と心のからくり 』は、東京大学教養学部の講義で石浦教授が語った内容をまとめた本。石浦教授の専門は分子生物学で、…
スマートフォンなどのGPSは、時計を利用して位置を特定する。地球の上空には原子時計を載せたGPS衛星が24基あり、GPS受信機はそのうち4基と通信する。その際の送信時間と受信時間の差をナノ単位で計測して、現在位置を割り出す。3000年に1秒しかずれない原子…
2000年5月、アメリカのクレイ数学研究所は、数学における7つの未解決問題に100万ドルの懸賞金をかけた。7つの問題とは「ヤン=ミルズ方程式と質量ギャップ問題、リーマン予想、P≠NP予想、ナビエ=ストークス方程式の解の存在と滑らかさ、ホッジ予想、ポアンカ…
リチャード・ドーキンスの言葉は刺さる。専門の進化生物学だけでなく、物理学、数学、医学、統計学、心理学、芸術など、数多の知識をまとって振り下ろす言葉は、まるで刀のように鋭い。詩人のキーツはニュートンを批判した。ニュートンが虹を物理的に解体し…
世界を記述する言語は数学である。これはガリレオの名言だが、確かに私たちの身の周りは方程式で満ちあふれている。先日も街を歩いている時、ふと、影の長さが気になった。太陽の位置が移動すると影の長さも変わるが、この長さは三角法で特定できるのだろう…
何のために本を読むのかと聞かれたら、書くためだと答える。何のために書くのかと聞かれたら、知るためだと答える。何のために知るのかと聞かれたら、考えるためだと答える。答えは用意してあるのだが、聞かれたことは一度もない。東京大学教授による『教養…
2013年6月、安部総理は経済政策の一環として、義務教育の段階からプログラミング教育を推進すると発表した。既に2012年から中学校の科目の一部にプログラミングが取り入れられているが、義務教育への本格導入に向けて、2016年までに教育者のスキルを標準化す…
私はどちらかといえば、モロに見えるよりパンチラのほうが好きだ。パンチラは想像力を喚起する。見てしまった自分と見られてしまった相手との間で、自分勝手で楽しい物語が始まる。だが、実際にストーリーが進んで隠れていた部分が見えてしまうと、映画のエ…
Photo Link ハンスたちはまず、成長のある段階で尾の先端を切り取り、それをタングステンの細いワイヤーでもっと先の段階の尾につなぎ留め、尾の成長の初期に作用する成長因子が、ステージ29で出される終止シグナルを無視できるかどうかを確かめた... 〜 ジ…
数と数の関係性を明らかにして、数の意味を理解したり別の数を計算する。それが方程式の役割で、鍵となるのは = で表す等号だ。数学は記号を使った言語であり、すべて言葉に翻訳できる。方程式であれば「〜と〜は」という主語で始まり、「等しい」という述語…
photo credit: c@rljones via photopin cc 2565年、彼は愛する彼女を失った。彼女はまだ若かったが、病いによる死の運命には逆らえなかった。カプセルの中で眠る彼女は透けるような白い肌をしていて、安らな笑みを浮かべていた。彼は宇宙に放たれるカプセル…